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8293 ATグループ MBO これは酷い酷すぎる

8293 ATグループ社長、山口 真史氏がMBOをすると発表しました。

 

MBO価格は2800円。金曜日の終値は1606円。足下株価から見ると結構良い値段をつけてくれたような感じがします。

 

ところが、この会社の1株当たり純資産額は昨年9月末時点で7,190円もあります。

 

純資産価格の半分にも満たない価格でのMBOです。これはいくら何でも酷い。酷すぎです。

 

1株当たり純資産額は、総資産から負債を引いて発行株式数で除したものになります。

 

この会社、トヨタの株や名古屋の土地、そして割賦売掛金(債権)等非常に多額の資産を保有しています。

 

純資産はB/Sの左を見て何を具体的に資産として保有しているかを見るのも重要ですが、それを取得するための源となった株主資本等を見ることも重要です。

 

純資産額、B/Sの右側を見るとそれが何を源としているかが分かります。株主資本と包括利益等となっています。主たる部分は株主資本です。

 

株主資本はさらに、資本金と資本剰余金さらに利益剰余金から構成されています。

 

会社・経営者はこのお金を預かりビジネスをしています。

 

利益剰余金は、毎年の税引後当期純利益から配当を減じたものの累計です。

 

株主は、会社・経営者がさらなる利益を上げてくれるだろうと期待し、内部留保を認めています。

 

この会社の第3四半期の利益剰余金は1750億円にもなります。このお金は上述の通り、株主が会社・経営者に預けたお金です。発行済み株式数3千3百万株で除すると1株当たり約5,200円となります。

 

今回のMBOはこれすらも大幅に下回ります。

 

全くの第三者がTOBをするならまだしも、株主からお金を預かっていながら、それを大幅に下回る価格でのMBOを推奨するとは、言語同断以外のなにものでもありません。

 

こんなことがまかり通ったならば、日本の資本市場はおしまいです。

 

ファイナンスは三菱銀行が行うそうです。同社は同時に大株主でもあります。私はその親会社である三菱UFJFGの株主です。弱小です。

 

さすが三菱、ちゃんと融資と株式保有部門は別で、本MBOに申し込むかどうかは融資とは別に決定すると明記されています。

 

弱小株主ではありますが、三菱経営陣にMBO価格が安すぎることを主張するよう申し入れを行う予定です。

 

まあ、常識的に考えてMBO価格を見直さない限り失敗に終わるでしょう。

 

MBO価格が安すぎます。