会社との建設的な対話 昨年5社実施
昨年の11月から12月にかけて5社と実施しました。
コーポレートガバナンスコード 原則5に<株主との対話>が謳われています。
「 上場会社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。 経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は、こうした対話を通じて株主の声に耳を傾け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行い、株主を含むステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と、そうした理解を踏まえた適切な対応に努めるべきである。」
実施したのは、
9077 名鉄運輸
6623 愛知電機
6466 TVE
5907 JFEコンテイナー
4832 JFEシステムズ
です。
名鉄運輸、愛知電機およびTVEとの対話では、取締役が1名参加されました。TVEとの対話では財務担当取締役と1時間近くサシで対話をさせていただいています。
9077 名鉄運輸は2022年2月7日に名古屋鉄道によるTOBが発表されました。私が対話をしたことがTOBにつながった訳ではないとは思いますが、私が対話したことがその一助になったものと勝手に理解しています。そう思うと、建設的な対話を行う意欲も出てくるというものです。
JFEグループの2社ですが、JFEコンテイナーとJFEシステムズでは対応に大きな違いがあります。システムズの方は、回答はいい加減なものではありましたが当方の言い分を理解し、懸命に回答に努めてくれました。
コンテイナーは「うるさい奴が来た」といった感じの対応で、のらりくらりと言い訳にならないような言い訳を繰り返すばかりの超塩対応です。株主総会もひどいもので、財務担当役員が「ROEを重視していない」と言ったり、日本銀行出身の独立社外取締役が「自社株買いにはリスクがある」といったり、酷いものです。
参考までに、6623 愛知電機との対話で先方にお渡ししたメモをコピーしておきます。
愛知電機 (株主との建設的な対話)2021.11.19メモ
〇 一般株主(社員、OB株主および大口投資家以外)との対話の場の設置。
→ 総会以外で特に社外取締役との意見交換ができる場の設置
社外取締役は一般株主の利益を踏まえた意見を取締役会にて発信すべき、
そのためには一般株主との意見交換の場が必要
(勿論、ネット等を通じてそうしたことができる体制をとることも可能)
年1回総会後の懇親会では足りない。足下はそれすらできていない。
〇 株価が1株当たり純資産額を大幅に下回っていることについて
(直近1株当たり純資産額 58908百万円/9,490,289=6,207円)
→ 過去に投資した資本と残余利益(配当後)の合算が純資産になる筈。10年間近
く株式を保有しているが、株価がこれを上回るどころか数値が近接することす
らない。株価が長期間1株当たり純資産額を下回っているということは、企業
が投資した分のお金を株主はマーケットで換金できないということ。株価だけ
見ると、新規投資は無駄に見える。そういう問題意識を是非もってもらいた
い。
→ 株価は市場が決めることではあるが、企業としてできる努力、ROEの向上、株
式流動性の向上、適正な市場の選択、市場との対話(IR)等すべきことをやっ
てからそうしたことは発言してもらいたい。過去5年間、投資家説明会を何度
したか教えてもらいたい。また、先の総会で指摘した通り、新しい取り組みを
した場合は積極的に適時開示情報として開示してもらいたい。
→ 上場企業に投資している投資家は、配当または値上がり益によって収益を得る。会社は返却不要の資本を調達するために上場している。よって投資家は当然のように「会社は株価を上昇させるための努力をするもの」と考えている。これは暗黙の了解。これには業績向上に努めるだけでなく、その還元方法の工夫や、株式を保有していない投資家へのPRも含む。
〇 自己株式の取得について
→ 名証1部に上場しているのだから、資本市場を上手く活用してもらいたい。1株当たり純資産価格を大幅に下回っていることを考えれば、自社株買いにリスクがあるとは思えない。自己株式を取得すればROEも向上する。金庫株として保有しておけば取締役会決議で再発行可能である。
→ 現状の株価を「是」とするならば、是非とも減損処理を検討してもらいたい。
〇 資本コストの具体的な数値を教えてもらいたい
→具体的な数値、レンジでも結構。を教えてもらいたい。
〇 最適資本構成について
→ 株主は絶えず株価の棄損等リスクにさらされている。そうした意味で少なくとも8%程度のROEは欲しい。現状のROEではとても満足できるレベルではない。
そういう観点から、資本構成を見直し、他人資本を十分活用しながら経営を進めてもらいたい。
→ 他人資本(借入金や起債)を利用して資金を調達、その分自社株買いをすれば、資本コストは下がる。当然ながら他人資本の金利はコストになるので節税できる。反面配当は税引後の支出になるので税金の面から言って不利になる。
最終的に会社に残るお金を増やす(=企業価値)ためには、他人資本を活用するのが良い。例えば足下の配当金を全て自社株買いに充ててはどうだろうか
〇 株価適正化に向けた取り組み
→ 名証ではなく東証に上場したらどうか
→ 役員賞与の一部を株で分配したらどうだろうか
→ 投資家説明会(前述の通り)
→ 自社株買い
〇 世の中の常識に基づいたワーディング使用
→ ROEと株主資本経常利益率は異なる。