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4107 伊勢化学工業 株主総会事前質問状準備中 親会社AGCにのみ余剰資金還流 言語道断

4107 伊勢化学工業 東証2部上場です。

 

親会社はAGCで、52.4%の株式を保有しています。いわゆる「親子上場」「従属子会社」というケースです。

 

2021年2月26日時点の時価総額は166億円です。

 

2020.12.月末決算のB/Sを見ると、流動資産の中に「短期貸付金」とあります。約66億円です。貸付先は親会社AGCです。有価証券報告書の最後の方に記載があります。

 

2016年まで四半期ごと決算短信で遡ってみました。2016年頃は60億円未満で推移していますが、2018年には一時80億円を超えている時もありました。

 

流動資産ですが、四半期毎の短信全てのB/Sに継続的に掲載されています。余剰資金を短期金利で長期継続的に親会社に還流させていることが窺えます。

 

利息は不明ですが推測することは可能です。

 

2019年12月期の有価証券報告書63ページに記載があります。

年間の「利息の受け取り」額は7百万円です。

 

2019年度の「短期貸付金」は約77億円で推移しています。

 

利息受け取り額を貸付金で除すれば、凡その利率が推測できます。0.091%です。

他の年度も調べましたが、最も利率が高い2016年度であっても利率は0.15%程度でした。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/4107/yuho_pdf/S100IBHK/00.pdf

 

「短期貸付金」と言いながら実態は長期に亘って極低金利にて余剰資金を親会社に還流しているに他なりません。

 

伊勢化学工業は自己資本比率82%の事実上の無借金会社です。配当利回りは四季報によると2.77%です。実はこの利回りは伊勢化学工業が資本を調達するために支払っているコストになります。いわゆる「資本調達コスト」です。

 

2.77%で資本を調達し、余剰資金を0.1%程度で運用するということの何処に合理性があるのでしょうか。社外取締役はチェック不足です。猛省が必要とされます。給与相当の仕事はすべきでしょう。

 

さて、実はこの「短期貸付金」については、もう一つ重大な問題があります。

 

会社法第109条1項ならびにコーポーレート・ガバナンスの基本原則に反しているということです。

 

<会社法>

109条「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。

 

<コーポレート・ガバナンスコード>

「上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。」

 

2020年度伊勢化学工業のROEは、会社発表によると5.3%です。

 

ROE(株主資本利益率)は、税引き後当期利益を株主資本を除することによって求められます。よって普通であれば全ての株主にとってROEは同じになるはずです。

 

ところが、少なくとも親会社AGCについては違います。

 

一部株主だけは、株主資本である余剰資金を極低利で借り受け別に運用しているのです。この株主のROEだけは普通の一般株主とは異なり、株主資本から借り受けている資金を引いたものが株主資本となります。

 

分子は同じでも分母が小さくなるので、実質的なROEは高くなります。

 

どう考えてもおかしいですよね。

 

短期間余剰資金が滞留するのは止む無しと思います、が基本的に会社は「投資」を行うべきと考えています。そして資本効率を少なくとも8%以上に高めるべきです。

 

もし、当面投資案件がなければ、配当に回すか自社株買いを行い、株価を高くするようつとめ、必要に応じて資金調達を株式市場で行うべきと考えます。上場する最大の理由は資金調達だったはずです。株主資本は返還する必要がありません。

 

伊勢化学工業の親会社AGCはFTSE Blossom Japan Index(環境、社会、ガバナンス(ESG)の対応に優れた日本企業のパフォーマンスを反映するESG統合型指数)に組み入れられているそうです。その連結子会社がこの体たらくです。

 

会社には説明責任があります。

www.businesslawyers.jp

 

週末は質問状作成に勤しむつもりです。もし、伊勢化学工業の株主の方が読まれていたら、是非とも総会への出席・ご協力お願いいたします。

 

他にも同じような会社があります。JFEコンテイナー、JFEシステムズ、日鉄ソリューションズ、三井金属エンジニアリング・・・。